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コラーゲン神話はイメージの産物

健康食品や化粧品では、新たな成分による新製品が登場するたびに、ブームを引き起こすようです。メーカーにとっては、新しい成分を見つけ、いかに消費者にアピールするかが決め手となるでしょう。しかし、奇抜すぎると消費者は眉をひそめます。安全性がわからないからです。新しくて尚且つ安全なもの。コラーゲンは、まさに優等生となるべき資質を備えていました。なにしろ、コラーゲンは昔から馴染みのある成分です。煮こごりなどの料理で日常的に食べていますし、ゼラチンもコラーゲンから作られています。医薬品などでも「つなぎ」としてコラーゲンは使われているため、安全なものとしてのイメージは湧きやすい。加えて、ゼリーのプルプル感からコラーゲンも「プルプル肌」のイメージを持たれやすいといえるでしょう。

しかも、肌にはたくさんのコラーゲンが存在しています。人間が保有するコラーゲンの約40%は肌に存在し、弾力やハリをキープしています。この肌のコラーゲンが変性すると、弾力がなくなるだけでなくシワの原因にもなるため、肌にとってコラーゲンが大切であることは事実です。さて、ぷるぷるとした肌には、コラーゲンが必要不可欠。その事実と、商品のコラーゲンを結びつけているのが、健康食品や化粧品です。一般の方々は、コラーゲンにたくさんの種類があることは知りません。ご存じの方もいるかもしれませんが、多くの人はコラーゲンが1つの種類だと思っています。そして、コラーゲンがどのように体内で作られるかも知りません。

美肌を担う肌のコラーゲンと、昔から馴染みのあるコラーゲンという成分。それがマッチングしやすい状況があったといえます。美肌=コラーゲンを企業で打ち出せば、消費者はそのイメージをあっさりと受け入れやすい土壌がありました。1社がそのイメージで打ち出して商品が売れれば、他社も便乗するのは経済の市場原理です。健康食晶や化粧品は、医薬品のように臨床試験で科学的な効果を証明することも要求されていません。健康食品や化粧品に含まれるコラーゲンの成分が、どのように肌のコラーゲンに役立つのか、科学的な証明をする必要はないのです。そして、健康食品や化粧品の基準でコラーゲンを配合すれば、次々に商品は作り出すことができます。結果として、売り場にはコラーゲン商品がズラリと並ぶ。

「美肌にはコラーゲンが関わっている」「プルプルの肌はコラーゲンのおかげ」「コラーゲンを補いましょう」と聞けば、美肌のためにコラーゲンを補う必要があることは、子どもでも理解できます。そして、目の前にはコラーゲンを配合した健康食品や化粧品が山ほどある。「コラーゲンを補う」イメージと商品はマッチングしやすいのは当然ともいえます。そんな光景が当たり前となってしまったことが、「コラーゲンは肌にいい」となんの疑問も抱かずに、みなさんが思うようになってしまったカラクリです。中には、「何年もコラーゲン配合の商品を使って、肌の状態はとてもよい。私自身の肌がコラーゲンの力を証明している」という方もいるでしょう。私も商品を否定するつもりはありません。

ただ、事実として、コラーゲンを食べても、それが肌のコラーゲンの材料として使われる保証はなく、化粧品として肌にコラーゲンを塗ったとしても、肌の奥には届かない。仮にコラーゲンの分子量を小さくして肌の表面から奥へと浸透させたとしても、それが肌のコラーゲンとして使われるかどうか、科学的な根拠に乏しいということをいいたいだけなのです。美肌に対して、あまり役には立たないコラーゲンですが、飲んだり塗ったりしても、害が少ないことがブームに拍車をかけて市場は伸び盛りです。コラーゲン神話は、美肌から「軟骨の痛みも和らげる」と、さらなるイメージを膨らませて商品化され続けています。しかし、本当に美肌を手に入れたいと思うならば、コラーゲンに頼りすぎることなく、保湿と紫外線防止、そして、健康を保つための生活習作の見直しを心掛けていただきたいと思います。